傘もささずに歩いた 誰にも気づかれたくなくて
流れてゆく景色の中に 置き去りのわたしがいる
あの日の約束たちが 胸の奥で錆びついて
もう何も信じられずに ただ息をしていた
心のどこかで 叫んでいたのに
この世界に 届かなくて
声にならない雨が 頬を伝ってゆく
誰にも見えない 涙のかわりに
癒えない痛みが 夜に溶けていく
名前もないまま 消えていくのなら
せめて夢の中で 抱きしめて…
鏡に映るわたしは 知らない誰かみたいで
何を望んでいたのかさえ もう思い出せない
「大丈夫だよ」と 笑ってみても
崩れていく 本当のわたし
声にならない雨が 心叩いてく
過去を洗い流せるなら それでもいい
願いの残骸(かけら)を 拾い集めながら
ひとりきりの夜を 彷徨っている
本当のわたし
愛されたかった ただそれだけ
誰かの言葉じゃ 満たせない空白(すきま)
壊れそうな自分を 抱きしめることさえできなくて
声にならない雨が 胸を濡らしてく
答えのない問いを 何度繰り返せば
失くしたものにも 意味があるのなら
どうかそれだけを 教えてください
静かに降り続く この雨に
光のない空の下
明日を待たずに ただ泣いていた