2024-10-01から1ヶ月間の記事一覧
真衣が菜摘のクラスに転入してきた日の朝、真衣の自己紹介の時に生まれた教室の中の微妙な空気。それを引きずっているかのように、始めから真衣はクラスの中で浮いた存在になっていた。 真衣自身がクラスメートに積極的に話しかけていれば、まだ違っていたの…
2 菜摘が通っていた高校は地元福井の県立高校で、その生徒たちの大部分は同じように地元の公立中学校に通っていた生徒たちだった。菜摘もその流れに流されるように中学の友人と一緒にその県立高校を受験し、その友人たちと一緒にその高校に進学した。 地元…
菜摘が眠りから目を覚ますと、いつも見慣れている自分の部屋とは全く違った場所に自分がいることに気付いた。 ここは……どこだろう……。 白い壁に囲まれた細長い形をした狭い部屋で、妙に圧迫感がある。上半身を持ち上げ、ぼんやりとした目で部屋の中を見る。…
なぜ、こんなところに……。 菜摘は大学進学の際に上京して来ており、それまでは福井に住んでいた。通っていた高校はその地元である福井にあり、東京からは遠く離れている。その高校の制服を着た女子生徒が深夜、東京のこんな公園のブランコの上に座っているわ…
1 久保田菜摘は真っ暗な道を一人歩いていた。 左腕の腕時計を見る。その針は深夜一時を指している。 「もうこんな時間……」 菜摘が通っている大学の学園祭が三日後に迫っていた。テニスサークルに所属していた菜摘は学園祭の出し物であるクレープ屋の準備に…